2022年5月にJPYC社は、これまで発行してきたJPYC v1をアップデートしたJPYC v2を新たに発行開始しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000132.000054018.html
では、このJPYC v2というのはこれまでのv1のものと比べて何が変わったのでしょうか。
簡単にまとめれば、米ドルステーブルコインのUSDCの規格に準じ、JPYCをより安心・安全に利用できるようにしたと言えるでしょう(USDCは米ドルステーブルコインの内、発行額が2位のCircle社が発行するトークン)
v1にはないすごい機能がv2にあるため、安心・安全に利用できるようになったわけですが、とはいえ、正直、違いがわからないですよね。。。
ということで、この記事では、ブロックリスト機能・アップグレード機能・ポーズ機能・レスキュー機能・メタトランザクションの5つの機能について解説していきます。
もくじ
- もくじ
- JPYC v2の機能
- Blocklist(ブロックリスト機能)
- Upgradability(アップグレード機能)
- Pause機能(ポーズ機能)
- Rescue機能(レスキュー機能)
- メタトランザクション
- JPYC v2の機能についてのまとめ
JPYC v2の機能
Blocklist(ブロックリスト機能)
ブロックリストというのは、不正にトークンを取得したアドレスを凍結したり、詐欺などに使われているアドレスへの送信に対して制限をかけたりする機能です。
これまでのJPYC v1では、不正なアドレスがJPYCを送ったり、受け取ったりすることを止めることができません。ですが、JPYC v2はそれらの制限をかけることができます。
こちらは、過去にUSDCがブロックリスト(ブラックリスト)機能を使った内容です。
米ドルと1:1でペッグしたステーブルコイン「USDコイン(USDC)」で、10万USDC(約1070万円)の保有するアドレスが、ブラックリストに追加されたことが分かった。 一部の有識者はブラックリストによる資金凍結といった中央集権的コントロールを懸念するが、今回のような事例で取り締まりが行われれば、ハッキングやマネーロンダリングの抑止にもつながる。https://coinpost.jp/?p=166235
このようにして、ユーザーが安心してJPYCを利用できるようにしています。
Upgradability(アップグレード機能)
アップグレード機能というのは、改ざんが不可能なスマートコントラクト(≒ルール)を、一定レベルまで変更できるようになったということです。
例えば、スマートコントラクトにおいて、バグがあったり、何らかの問題があった場合、修正が必要になります。この場合、新しいスマートコントラクトを作成し、新たにトークンを発行する必要が出てくるのです。
新たにトークンを発行する場合、ユーザーにとっていちいちトークンを切り替えたり、交換する必要性が出てくるのです。
これでは、ユーザーにとっても不利益となるでしょう。
しかし、問題が生じた場合、その都度トークンを発行せずに、スマートコントラクトを修正することができる機能がアップグレード機能となります。
もちろん、この機能にはデメリットも存在します。
改ざんできないものを改ざんできるようにするわけですから、改ざんできないことを信頼とする場合、安全性や非中央集権性が低下します。
つまり、変わらないはずのルールが、あとから勝手に変えられるとしたら困ってしまうでしょう。
また、変えられないルールを変えられるようにすることで、悪意のある人がルールを変えてしまう可能性が出てくるということです。
英語ですが、Ethereumの資料に詳しくメリットとデメリットがかかれています。
Pause機能(ポーズ機能)
ポーズ機能とは、スマートコントラクトにバグやハッキングにあったときに、機能を一時的に停止するものです。
これにより、トラブルによる被害を小さくできるほか、その間、上述のアップグレード機能を活用し改修をすることができます。
Rescue機能(レスキュー機能)
レスキュー機能とは、JPYCのコントラクトアドレス(0x431D5dfF03120AFA4bDf332c61A6e1766eF37BDB)に対して、間違って送ってしまったトークンを相手に返すというもの。
コントラクトアドレスというのは、トークンと紐づいた識別番号のようなもので、ウォレットではありません。そのため、コントラクトアドレスに、トークンを送る機能はありません。
つまり、コントラクトアドレスに間違って送ってしまった場合、送り返すなどできないのです。
ですが、この機能があることで、送り返すことが可能になりました。
しかしながら、この機能があるからと言ってJPYCのコントラクトアドレスに送らないでください。
メタトランザクション
メタトランザクションというのは、簡単に言えばガス代を支払わずに取引をしたり、その代わりにトークンを送るという機能です。
そもそもブロックチェーンの世界では、取引をするときにガス代と呼ばれる手数料を支払う必要があります。このガス代として利用できるのが、各ネットワークごとに決められています。
例えば、Ethereumネットワークの場合、ETH(イーサリアム)、Polygonネットワークの場合、MATICのように別のトークンが必要になってきます。
これを各ネットワークごとに準備する必要が出てくるのです。
ガス代については、下記の記事で解説しています。
ですが、このメタトランザクションの機能を使うことで、取引時にかかるガス代をほかの人が払うようにできるというものです。
まだ実用化していませんが、今後JPYCでガス代を払ったり、ガス代なしでの取引が可能になるかもしれません。
JPYC v2の機能についてのまとめ
ということで、JPYC v2の機能について解説してきました。
まとめれば、JPYCをより安心して利用してもらえるように機能を追加し、新たに発行したのがJPYC v2ということになります。
より技術的な詳細は、JPYC研究開発チームのブログを確認ください。